投稿者: 司法書士宮本普雄

相続登記したらDMが来るのはなぜ?

電話を受ける女性のイラスト

「実家を相続して登記を済ませたら、不動産業者からDMが届いたり、営業電話がかかってきたり…これって個人情報が漏れてるの?」

相続手続き後にこのような経験をされ、ご不安に思われる方は少なくありません。当事務所にも同様のお問い合わせが寄せられます。

今日は、そんな皆様の疑問にQ&A形式でお答えし、スッキリ解説いたします!

Q&A

Q1. 相続登記をしたら、不動産業者や税理士からDMや営業電話が来るようになりました。私の情報がどこかから漏れているのでしょうか?

A1. ご心配されるお気持ち、よくわかります。

まず、私たち司法書士には法律で厳格な守秘義務が課せられています。司法書士法人槐事務所では、お客様の許可なく個人情報やご依頼内容を外部に漏らすことは絶対にありませんので、その点はご安心ください。

Q2. では、司法書士から情報が漏れていないとしたら、不動産業者などはどうやって私が不動産を相続したことを知ったのですか?

A2. それは、主に法務局で公開されている情報に基づいている可能性が高いです。

具体的には「不動産登記受付帳」「登記簿(登記事項証明書)」という公的な記録から情報を得ていると考えられます。

Q3. 「不動産登記受付帳」とは、どのようなものですか?

A3. 不動産登記受付帳は、管轄の法務局が保管している帳簿です。ここには、「どの不動産について」「いつ」「どのような原因で(例:相続、売買、贈与など)」登記申請が行われたかが記録されています。この帳簿自体には、新しい所有者の氏名までは記載されていません。

重要なのは、この不動産登記受付帳は行政文書にあたり、誰でも開示請求をすれば入手できるという点です。

Q4. 「登記簿(登記事項証明書)」からは、もっと詳しいことが分かるのですか?

A4. はい。不動産業者などが不動産登記受付帳で「相続」を原因とする登記があったことを知ると、次にその不動産の登記簿(登記事項証明書)を取得します。

登記簿には、不動産の詳細な情報に加えて、新しい所有者(相続人)の住所と氏名が記載されています。これにより、DMの送付先などが特定されるわけです。

Q5. 電話番号も登記簿で分かってしまうのですか?

A5. いいえ、登記簿に電話番号は記載されていません。

では、なぜ電話がかかってくるのかというと、いくつかの可能性が考えられます。

例えば、過去に電話帳に電話番号を掲載したことがある場合、その古い電話帳が古本屋で売買されたり、専門の名簿業者が情報を収集・整理してリスト化していたりするケースです。また、インターネット上でご自身が公開した情報から辿り着くこともあり得ます。これらの情報をまとめた名簿を販売している業者も存在するようです。

Q6. こうしたDMや営業電話を止める方法はありますか?

A6. 残念ながら、これらの情報源は公的な記録や過去に公開された情報に基づいているため、完全に防ぐことは難しいのが現状です。

しかし、私たち司法書士法人槐事務所としては、特に相続というプライベートな出来事に関する情報が、本人の知らないところで容易に収集され、営業活動に利用される現状については、不動産登記受付帳の取り扱いに関して、プライバシー保護の観点から一定の制限を設けるなどの対策が必要ではないかと考えています。

最後に

相続に関する手続きは専門的で分かりにくいことも多いかと存じます。また、それに付随して今回のようなご心配事が出てくることもあります。

司法書士法人槐事務所では、お客様のプライバシーを厳守し、安心してご相談いただける体制を整えております。相続に関する疑問やお困りごとがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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2025年4月開始!「検索用情報」提供の新しい仕組みとは?

家のイラスト

「マイホームを買ったけど、住所変更の手続きって面倒だな…」

「実家を相続したけど、登記の情報が古いままかも…」

不動産をお持ちの皆さま、こんなお悩みはありませんか? 2025年4月21日から、不動産登記に関する新しい取り組みとして「検索用情報」の提供が始まります。これは、将来的に住所や氏名が変わった際の手続きをスムーズにし、「所有者不明土地」問題を解決するための一歩となるものです。

この記事では、この新しい「検索用情報の申出」について、Q&A形式で分かりやすく解説します。

そもそも「検索用情報」って何を提供するの?

「検索用情報」として法務局に提供をお願いする主な情報は以下の通りです。

  • お名前のフリガナ(またはローマ字氏名)
  • 生年月日
  • メールアドレス(任意ですが、お知らせ等に活用されます)

これらは、既にお持ちの住民票の情報(氏名、住所)と関連付けて、法務局が皆さんを特定しやすくするための情報です。

Q&A

Q1. なぜこんな情報を出す必要があるの?

A. これまで、不動産の所有者の方が引っ越しをしたり、結婚などで氏名が変わったりした場合、ご自身で法務局に変更登記を申請する必要がありました。しかし、この手続きがされないままだと、登記簿の情報が古くなり、いざという時に所有者が誰か分からなくなる「所有者不明土地」問題の一因となっていました。

そこで、将来(2026年4月1日から予定)は、法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の情報を活用して、職権で(つまり皆さんの申請なしに)住所や氏名の変更登記を行えるようにする仕組みが導入されます。今回の「検索用情報」の提供は、そのための準備段階として、法務局が住基ネットで皆さんを正確に検索できるようにするためにご協力をお願いするものです。 この情報を提供しておくことで、将来の住所変更等の手続きの負担が軽減されるメリットがあります。

Q2. いつから、どんな時に提供するの?

A. 大きく分けて2つのケースがあります。

  1. 不動産を取得する登記を申請するとき(同時申出):2025年4月21日から 売買や相続などで新しく不動産の所有者になるとき、その登記申請と「同時」に検索用情報を提供します。申請書に記載する形になります。
  2. 既に不動産を所有している方が申し出るとき(単独申出) 既に不動産をお持ちで、上記1の機会がなかった方も、単独でこの情報を提供できます。

Q3. 費用はかかるの?

A. 検索用情報の提供自体には、登録免許税などの費用はかかりません。司法書士に依頼する場合は、別途報酬が発生します。

Q4. 氏名や住所は正確に伝える必要があるの?

A. 住民票に記載されている通りの正確な氏名・住所を伝える必要があります。これが住基ネットでの検索のキーになるためです。

Q5. メールアドレスは必須?家族のものでもいい?

A. メールアドレスは、法務局が職権で住所変更登記を行う際に、事前確認の連絡などに使われる重要な情報です。原則として、ご本人が現に利用しているメールアドレスを提供いただくことになります。 もしメールアドレスをお持ちでない場合や、ほとんど利用しておらず気付かない可能性がある場合は、その旨を申し出る形でも差し支えありません。

Q6. 以前に検索用情報を提供したことがあるけど、また必要?

A. はい、必要になる場合があります。

  • 以前に情報提供した不動産とは別の不動産を取得した場合(例:A土地について提供済みでも、新たにB土地を取得した場合)は、改めて提供が必要です。
  • 以前に情報提供した同じ不動産について、他の共有者の持分を取得した場合なども、改めて提供が必要です。

Q7. もし不動産取得時に検索用情報の提供をうっかり忘れたら?

A. 法務局から提供を促されることになります。この制度は、所有者不明土地問題への対応に不可欠な手続きとされているためです。もし促しに応じない場合でも、その旨が記録された上で登記は実行されますが、法務局からご協力をお願いされる場合があります。

Q8. 生年月日を証明する書類は別途必要?

A. 通常、不動産登記の際に住所証明情報として提出する住民票の写しなどに生年月日が記載されていれば、それが生年月日等を証する情報も兼ねることになるため、別途特別な書類は基本的に不要です。

Q9. 既に持っている不動産について、自分で検索用情報を申し出る場合(単独申出)はどうすればいい?

A. お持ちの不動産のいずれかの管轄法務局に申し出ることができます。その際、ご本人確認のため、運転免許証やマイナンバーカードなどの写しが必要になる場合があります。また、手続きは、司法書士などの専門家に代理を依頼することも可能です。

Q10. 提供したメールアドレスを変更・削除したい場合は?

A. 申し出により変更・削除・新規登録が可能です。基本的にはご本人による手続きを想定していますが、司法書士に依頼することもできます。その際には、ご本人確認書類や委任状などが必要になる場合があります。

Q11. この情報を提供すると、誰でも私の生年月日やメールアドレスを見られるようになるの?

A. いいえ、そんなことはありません。検索用情報のうち、生年月日やメールアドレスは登記簿に記載されるものではありません。もし第三者が登記申請書などの附属書類の閲覧を請求した場合でも、これらのプライベートな情報はマスキング(目隠し)処理され、閲覧できないように措置が取られますのでご安心ください。ご自身が申請人としてご自身の書類を閲覧する場合には、マスキングはありません。

まとめ

この新しい「検索用情報」の提供は、少しお手間かもしれませんが、将来の皆さんの手続きの負担を減らし、社会全体の課題である「所有者不明土地」問題の解決にもつながる大切な取り組みです。

特に2025年4月21日以降に不動産を取得される方は、登記申請と併せてこの情報を提供することになります。 ご不明な点や具体的な手続きについては、お近くの司法書士にご相談いただくことをお勧めします。

ご留意いただきたい点

この記事は、令和7年3月12日現在、施行通達等は令和7年4月21日時点のものです。具体的な事案や詳細な手続きについては、必ず法務局の窓口や司法書士にご確認ください。

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会社の登記、「株主総会」って本当に必要? 面倒を避けて正しく進める方法

会社を経営していると、「事業目的を変えたい」「新しい役員に入ってもらいたい」「事業拡大のために増資したい」といった場面が出てきますよね。これらの手続きには、法務局での「登記」申請が必須です。

そして、この登記手続きを進める上で、多くの方が「株主総会って、必ず開かないといけないの?」という疑問をお持ちになります。特に、株主が身内だけだったり、自分一人しかいなかったりする会社の場合、わざわざ総会を開くのは面倒だと感じるかもしれません。

今回は、そんな株式会社の登記と株主総会の関係について、基本ルールから、手間を省きつつ法的に問題なく進められる「みなし決議」という便利な方法まで、わかりやすく解説します。

まずは基本:会社の重要な決定には「株主総会」が必要

株式会社のルールである「会社法」では、会社の基本的な運営方針や重要な事項(定款の変更、役員の選任・解任、増資など)を決める際には、株主総会を開いて、株主の賛成を得る(決議する)ことが原則とされています。

これは、会社の所有者である株主の意思を尊重するための大切な仕組みです。「うちは家族経営の小さな会社だから」「株主は自分一人だから」といった理由で、この原則が免除されるわけではありません。たとえ株主が一人であっても、形式的には株主総会を開き、その決定内容を株主総会議事録として記録に残す必要があるのです。

「カタチだけ」の議事録… ちょっと待って!

登記申請は、必要な書類が揃っていれば受理されることがほとんどです。そのため、「実際には総会を開いていないけれど、議事録だけ作成して提出すれば大丈夫だろう」と考えてしまうケースもあるかもしれません。

確かに、それでも登記自体は完了するかもしれません。しかし、会社のルールを守るコンプライアンス(法令遵守)という観点からは、これは望ましい方法とは言えません。万が一、後で会社の運営について問題が起きた際に、手続きの正当性が問われるリスクも考えられます。やはり、実態に合った適切な手続きを踏むことが、会社の信用を守る上で重要です。

そこで活用したい!「書面によるみなし決議」という賢い方法

「そうは言っても、毎回株主総会を開くのはやっぱり手間だ…」と感じる方も多いでしょう。特に、株主が少なく、日頃から円滑にコミュニケーションが取れている会社にとっては、形式的な総会の開催が負担になることもあります。

そんな時に役立つのが、会社法で認められている「書面によるみなし決議」(「書面決議」「持ち回り決議」とも呼ばれます)という制度です。

これは、提案された内容について、議決権を持つ株主全員が書面(またはメールなどの電磁的記録)で同意を示せば、実際に株主総会を開催しなくても、有効な決議があったものと法的にみなされる、という便利な仕組みです。

この方法を使えば、

  • 株主総会の招集や開催の手間が省ける
  • 法的に有効な決議として、きちんと記録を残せる
  • スピーディーに意思決定ができる

といったメリットがあります。株主が少数で、意思疎通がしやすい会社には特におすすめの方法と言えるでしょう。

面倒な手続き、不安な点は専門家にご相談ください

「みなし決議」は便利な制度ですが、正しい手順で進めないと、せっかくの手続きが無効になってしまう可能性もあります。また、そもそも自社のケースではどのような手続きが必要なのか、判断に迷うこともあるかもしれません。

株式会社の登記手続きは、会社の信用に関わる重要なプロセスです。

  • 自社に合った、効率的で適切な手続きを知りたい
  • 間違いのない書類を作成したい
  • 煩雑な手続きは専門家に任せて、本業に集中したい

このようにお考えでしたら、ぜひ私たち司法書士にご相談ください。

当事務所では、お客様の会社の状況を丁寧にお伺いし、株主総会の開催、みなし決議の活用、そして登記申請まで、解決策をご提案し、スムーズな手続き完了をサポートいたします。

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東京公共嘱託登記司法書士協会-令和6年度第1回研修会に講師として登壇しました

会場入り口のパネル

弊所代表司法書士の宮本普雄が、2024年9月6日、日司連ホールにおいて、「長期相続登記等未了土地解消作業に寄与する公嘱協会」というテーマの研修で、所有者不明土地問題を解消するための作業である、長期相続登記等未了土地解消作業の実際と、その作業の最前線、成果を利用した相続登記の申請について、講師として登壇し、解説いたしました。

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東京司法書士会令和6年度第1回多摩支部セミナーに研修講師として登壇しました

弊所代表司法書士の宮本が、2024年8月23日、パルテノン多摩にて、「これだけは気をつけたい!旧民法の相続と戸籍の知識」を主題とした研修の講師として、相続人調査で重要で司法書士が見落としがちなポイントを事例と共に解説しました。

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相続登記の申請義務化と相続人申告登記制度

いよいよ始まる相続登記の申請義務化

 令和6年4月1日より、相続登記の申請が義務化されますが、同時に相続人申告登記制度も始まります。

 相続登記の申請は、ただでさえ相続人の方にご負担を掛けがちですが、それを更に過料を伴う義務化となっては、相続人の方にとって非常に酷です。そこで、相続登記の申請よりも簡単に、相続登記申請の義務を怠ったことによる過料から免れられる制度が、この制度です。

 ここでは、この相続人申告登記制度についてご案内します。

相続登記の申請義務化のおさらい

 相続登記の申請義務化によって、自身が相続人であることと相続が開始したことを知ったときから3年以内に相続登記を申請することが義務化され、これに反すると10万円以下の過料に処せられる可能性があります。そして、この過料は、被相続人1名につき、不動産1筆単位で10万円以下の過料となることが予定されているようです。

 つまり、被相続人が1名で5筆の土地の相続登記の申請を怠ることで、最大で50万円の過料に処せられる恐れがあります。別な例として、お亡くなりになったご両親がお住まいだった戸建て(土地2筆、家屋1戸として)の場合は、最大で60万円の過料に処せられる恐れがあります。

負担の大きい相続登記の申請

 相続登記申請の義務を怠ったことによるペナルティから開放されるには、相続登記を申請することがまず考えられますが、戸籍の収集や、相続人全員での遺産分割協議、そして登記申請の際には、登録免許税を納付する必要があり、金銭的にもその負担は軽くありません。それを簡単に言えば、3年以内にすべて済ませないと、過料に処せられる場合があります。

 そこで、相続登記の申請が義務化する代わりに、比較的簡便な手続きで、相続登記の申請義務から逃れられる制度として、相続人申告登記制度がつくられました。

相続人申告登記の申出の特徴

 相続登記の申請と比較して、どのくらい手続きが簡単になるか、負担が減るか、相続人の方の立場から検討してみると、次のようにまとめることができます。ただし、あくまでも手続きの難易と負担の多少の比較のため、相続人申告登記の申出によって、相続登記の申請が不要となるとは言い切れませんので、ご注意ください。

相続人申告登記の申出相続登記の申請
①必要な書類の数比較的少ない比較的多い
②関与を要する相続人の人数1人相続人全員の関与が必要なことが多い
③遺産分割協議不要遺言書が無ければ必要なことが多い
④登録免許税不要(令和6年3月現在)原則必要
⑤司法書士報酬比較的安価(比較の基準)

①必要な書類の数

 相続人申告登記の申出でも、戸籍の収集は必要となりますが、通常の相続登記の申請と比較すると、ぐっと少なくなります。申出をする人が、相続人であることを示すために必要な戸籍だけを集め、住民票などを添付すれば受理されます。

 例えば、配偶者名義の土地と建物を相続した場合を例にすれば、相続登記の申請であれば、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等と、相続人全員の戸籍謄抄本等が必要になります。一方、相続人申告登記の申出であれば、被相続人の死亡した際の戸籍謄本等と、相続人である配偶者の現在の戸籍謄抄本等があれば十分です。1通の戸籍で、この両方が明らかになれば、その1通の戸籍等の謄抄本で事足りることとなります。

 相続登記の申請では、戸籍謄本等ほか、遺言書や遺産分割協議書・印鑑証明書、固定資産税評価証明書等、相続手続の内容に応じて必要となりますが、相続人申告登記の申出ではこれらは不要です。

②関与を要する相続人の人数と③遺産分割協議

 相続登記の申請(より正確に表せば「相続を原因とする所有権移転の登記申請」)と相続人申告登記の申出は、これらの性質の違いから、関与を要する相続人の人数が異なります。

 相続人申告登記の申出は、簡単に表現すれば、「私が登記名義人の法定相続人の1人です。」という旨を、法務局に登記してもらうための申出だからです。そのため、先述の①でもご案内しましたが、必要な戸籍もより少なくて済む、ということになります。

 そのため、遺産分割協議も当然に不要となりますが、不動産の名義人となるわけではありませんので、相続人申告登記がされただけでは、その不動産を売却したり、担保として抵当権を設定することはできません。不動産を売却する場合は、相続登記が必要です。

④登録免許税と⑤司法書士報酬

 ほとんどの場合、登記を申請する場合には、法務局に登録免許税を納付する必要があります。

 相続登記の申請の際には、不動産の固定資産税評価額の1000分の4(0.4%)を納付することが、原則となりますが、相続人申告登記の申出は令和6年3月現在、登録免許税の納付は不要です。

 司法書士報酬は、相続登記の申請代理と比較して、平均的に低廉な報酬設定になるのではないかと、弊所は予想しています。もっとも、司法書士報酬は自由化されているため、司法書士事務所によって報酬はマチマチとなるため、保証はし兼ねますので、あしからずご了承ください。

まとめ

 相続登記の申請義務化と同時にはじまる、相続人申告登記制度をご紹介しました。相続登記の申請と比較すると、比較的少ない負担で、相続登記の申請義務から解放されますが、相続等の申請が不要となるわけではありません。

 相続した不動産を売却するのであれば、前提として相続登記の申請が必要で、これはこれまでと変わりません。あなたの置かれた状況によって、相続登記を申請するか、相続人申告登記制度を利用するか検討する必要があるかと思います。

 複雑で繊細な相続手続きのご相談やお悩みは、弊所にお問い合わせください。

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相続登記申請の義務化と相続人申告登記制度について簡単に解説

新制度がはじまります 

 2024年(令和6年)4月1日から、相続があった場合にその登記を申請することが必須になります。これは、家や土地などの不動産を相続する際に、法律で定められた期間内に登記の申請しなければならないというものです。しかし、この手続きは複雑で時間もお金もかかります。そこで新しく「相続人申告登記制度」が導入されます。これは、相続登記の手続きよりも簡単に、過料(お金のペナルティ)を避けるための制度です。

相続登記申請の義務化とは?

 相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、その不動産を相続人が正式に名義変更する手続きのことです。この手続きが義務化され、2024年(令和6年)4月からは、3年以内にこの手続きを行わなければ、最高10万円の過料が課されることになります。

相続人申告登記制度のメリット

 この新しい制度では、相続登記の申請に比べて必要な書類が少なく、手続きが簡単です。そして、過料の心配も無くなります。

 ただし、この制度を利用しても、不動産の名義人が自動的に変わるわけではありません。不動産を売却する場合や、将来的に正式な相続登記の申請が必要になる場合があるため、自分の状況に合わせて選択する必要があります。

まとめ

 相続登記の申請義務化に伴い、相続人申告登記制度が導入されます。この制度は、相続登記の手続きをより簡単にし、過料を避けるためのものです。

 しかし、将来的に不動産を売却する場合など、正式な相続登記の申請が必要となる場合があります。

 手続に不安のある方や、どちらを選択べきかお悩みの方は、お気軽に弊所にお問い合わせください。

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令和8年4月から不動産の住所・氏名の変更登記申請が義務化されます

変更登記申請の義務化 

 不動産の登記名義人の住所や氏名の変更が生じた場合、これまでその登記は任意でしたが、令和8年4月1日から、不動産の所有者の住所や氏名の変更登記申請が義務化されることになりました。

 これまでは、不動産の所有者の住所や氏名が変更された場合でも、罰則はありませんでしたが、その変更があった日から2年以内にその変更登記を申請する必要があり、正当な理由なく、変更登記申請をしなかった場合、5万円以下の過料が生じることがあります。

株式会社などの法人も変更登記申請の義務の対象

 株式会社、合同会社、社団法人なども、不動産の所有者である場合は変更登記申請の義務の対象となりますので、注意が必要です。なお、商業登記の商号・名称や本店・主たる事務所の変更があった場合の登記申請義務は、これまで同様、変更があった日から2週間以内に登記申請する義務があります。

すでに不動産の所有者となっている場合も対象に

 この義務は、令和8年4月1日よりも前に取得した不動産も対象となり、その場合は、令和8年4月1日から2年以内に変更登記申請をすることが求められます。

登記官による職権登記制度もはじまります

 登記官による職権登記とは、法務局の登記官が法令に基づいて一定の条件のもと、登記をする制度です。住所・氏名の変更登記申請の義務化に合わせて、登記官が職権で変更登記を申請することができるようになる予定で、そのために、不動産の登記申請書の内容も一部変更が予定されます。

 具体的には、個人が不動産の所有者となる登記の申請をする場合には、これまでは住所と氏名を登記申請の内容としていましたが、それに加えて、氏名の読み仮名・生年月日・性別などの検索用情報を提供することが可能となります。法人が不動産の所有者となる登記の申請をする場合には、会社法人等番号が登記申請の内容となります。

※個人が不動産の所有者となる登記申請をする場合には、住所と氏名に加えて、氏名の読み仮名、生年月日、メールアドレスを検索用情報として提供する制度となりました。 ― 2025年5月15日修正

 これにより、登記官が職権で、住所・氏名の変更を確認し、登記をすることができるようになり、登記手続が簡素化されることが期待されています。

登記の申請はお早めに

 令和6年4月1日から、相続登記申請義務化となりますが、令和8年から、不動産の所有者の住所・氏名の変更登記申請も義務化されます。

 登記の申請は、その原因があってから時間が経てば経つほど、申請に必要な書類の収集が難しくなりがちなので、早めの準備が大切です。

 変更登記の申請や、相続登記の申請に不安やお悩みがある場合は、お気軽に槐事務所までご相談ください。

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関連情報

相続に関する特設サイトを開設しました

 私たちは、相続手続きを数多く受託してきた司法書士法人として、この度、新たなウェブサイトを開設いたしました。このウェブサイトは、法律事務の専門家である司法書士・行政書士が、相続に関する総合的な情報提供と、お客様のニーズに合わせた個別のサポートを目的としています。

 私たちの目標は、相続手続きにおけるお客様の不安を軽減し、安心していただけるサービスを提供することです。新ウェブサイトを通じて、より多くの方々に質の高いサポートを提供できることを目指しています。

 ぜひ一度、当事務所の新ウェブサイトをご覧ください。あなたの相続に関する疑問や問題を、私たちが全力でサポートいたします。

 ウェブサイトURL:  よりそう相続サポートセンター

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