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登記が終わった後のチェックのお話

 弊所にご依頼頂いた登記申請につきましては、申請手続き終了後、入念に書類を最終チェックした上で、 お客様に書類をご返却させて頂いております。

 万が一、登記された内容や、登記完了後に発行される書類に誤りがあった場合、その登記が終わった後の次の登記申請の際に、手間や費用が増える場合があるため、登記申請前の書類のチェックと同じくらい、気を遣います。

 さて、登記申請をご依頼頂いた不動産を調査していたところ、 一棟の建物が次のような登記記録となっていました。

※プライバシー保護のための処理をしております

  通常ですと、左から3列目の「受付年月日・受付番号欄」に、登記申請を受け付けた日付と、管轄法務局で1年ごとに通じて割り振られる受付番号が、記載されます。しかし、この登記記録には受付番号しかなく、そのかわりに、最右列「権利者その他の事項欄」の一行目に、「平成年月日不詳受付」との記載があります。

 この受付年月日・受付日付には重要な役割があります。

 不動産の登記を申請する際には、その不動産の権利者が申請していることを法務局に明らかにするために、権利証(登記済権利証) を提出することがあります。そして、法務局は、提出された権利証が妥当かどうかを判断する材料として、この受付年月日・受付日付を用いるのですが、登記記録に受付年月日が記載されていない登記記録からは、提出された権利証 (登記済権利証) の妥当性の判断が、比較的に難しいものとなり、そのため手間や費用が増えることが多いのです。

 先にお見せした建物の登記記録は、受付日付の記載がありません。 お客様はこの建物の権利証 (登記済権利証) を大切に保管されており、ちゃんとお持ち下さりました。お客様に落ち度は無いにも関わらず、手間や費用が増えてしまうのです。

※プライバシー保護のための処理をしております

 お見せしております登記記録は、平成17年に登記記録が電子化され、様式が変更された後のものです。様式が変更される前の登記記録には、受付年月日が記載されている可能性もあるので、念のために取得したものが右の画像です。

 受付年月日が記載されているはずの箇所に、「平成共担追加受付」とあります。電子データ化の際、さすがにこの記載をそのまま引き写すことはできないと判断し、「平成年月日不詳受付」として処理されたのかも知れません。

 さて、この建物の権利証が作られた時の登記に誤りがあったことが分かりました。登記申請をする前に、法務局に赴き、お客様からお預かりした権利証と関係する資料をもとに打ち合わせをしておきます。もし、登記申請を「取下げ」となる見込みであれば、その対策を事前に行うことが出来るからです。

 結果的に、ご依頼頂いた登記申請は無事に完了し、同時に問題の受付年月日の記載も、法務局に修正してもらいました。

※プライバシー保護のための処理をしております

 「付記1号、1番所有権更正」と記載されている行が、法務局が修正した箇所です。受付年月日・受付番号が書き加えられたため、今後の登記申請の際は今回のような手間が無くなります。

 槐事務所では、登記の完了後も登記された内容に誤りがないか、念入りにチェックた上で、お客様に書類をお渡ししております。今回のように、法務局によって間違った登記がなされても、すぐに修正してもらい、将来のお手間や面倒を未然に防ぎます。その為、このような問題があった場合は、お返しが遅くなる場合もありますが、ご理解下さいますようお願いしますとともに、お気軽にご相談頂ければと思います。