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 「会社のお引越し」である本店移転。いざ行うとなると、どんな手続きが必要で、何に注意すれば良いのでしょうか?

 「手続きが複雑そう…」「自分でできるのかな?」

 そんな疑問をお持ちの経営者様・担当者様へ。この記事では、会社の本店移転に関する手続きの全体像を分かりやすく解説します。

 私たち司法書士法人槐事務所は、これまで多くの会社様の本店移転手続きをサポートしてまいりました。この記事が、皆様のスムーズな本店移転の一助となれば幸いです。

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 会社の本店移転手続きは、定款の記載内容や会社の機関構成(取締役会の有無など)によって、必要な決議や手続きが異なる場合があります。

 ご不安があれば、無理せず専門家である槐事務所にご相談いただければと思います。私たち司法書士法人槐事務所では、貴社の状況に合わせた最適な手続きをご提案し、円滑な本店移転をサポートいたします。

本店移転手続きの全体像:大きく分けて2つのケース

 本店移転の手続きは、移転先が現在の法務局の管轄内か、管轄外かによって大きく異なります。

  1. 法務局の同一管轄内での移転:比較的簡単な手続きで済みます。
  2. 法務局の別管轄への移転:手続きが少し複雑になります。

 それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 法務局の同一管轄内での本店移転:比較的カンタン!

 現在の本店所在地を管轄する法務局の管轄区域内で本店を移転する場合です。例えば、多摩市内での移転などがこれに該当します。

やることリスト

  1. 具体的な移転先(本店所在場所)を決定する
    • 取締役会設置会社の場合:取締役会決議
    • 取締役会非設置会社の場合:取締役の過半数の一致で決定
  2. 管轄法務局へ本店移転登記を申請する

【要注意!】定款の記載内容を確認しましょう

 手続きが簡単とはいえ、注意すべき点があります。それは、定款の本店所在地に関する規定がどこまで具体的に書かれているかです。

  • 例1:「当会社は、本店を東京都多摩市に置く。」 この場合、同じ多摩市内(例:東京都多摩市鶴牧一丁目3番地の10 → 東京都多摩市愛宕四丁目●●番地の〇)への移転であれば、定款を変更する必要はありません。つまり、株主総会の特別決議は不要です。
  • 例2: 同じ東京法務局府中支局の管轄内であっても、例えば多摩市から稲城市へ本店を移転する場合、定款で「当会社は、本店を東京都多摩市に置く。」と定められていれば、株主総会の特別決議による定款変更が必要になります。
  • 例2と同様のケース:「当会社は、本店を東京都多摩市鶴牧に置く。」 この場合、同じ多摩市内でも「東京都多摩市愛宕」のように「鶴牧」以外へ移転するのであれば、定款の変更が必要になります。つまり、株主総会の特別決議が必要です。

 ご自身の会社の定款がどのようになっているか、必ず確認しましょう。

2. 法務局の別管轄への本店移転:手間がかかるが、ポイントを押さえれば大丈夫!

 現在の本店所在地を管轄する法務局とは異なる法務局の管轄区域へ本店を移転する場合です。例えば、多摩市(管轄:東京法務局府中支局)から日野市(管轄:東京法務局立川出張所)へ移転する場合などが該当します。

 この場合は、手続きが少し複雑になります。

やることリスト

  1. 定款変更(株主総会の特別決議) 原則として、株主総会の特別決議によって定款の本店所在地に関する規定を変更する必要があります。
  2. 具体的な移転先(本店所在場所)を決定する
    • 取締役会設置会社の場合:取締役会決議
    • 取締役会非設置会社の場合:取締役の過半数の一致で決定
  3. 旧本店と新本店の管轄法務局への登記申請
    • 旧本店所在地の管轄法務局に、本店移転の登記申請書を提出します。
    • 同時に、旧本店所在地の管轄法務局を経由して、新本店所在地の管轄法務局宛ての登記申請書も提出します。
    • 印鑑届出について:
      • 令和7年4月21日から、新管轄法務局への印鑑届出書の提出は原則不要になりました!
      • ただし、本店移転に伴い会社の実印を改印する場合は、引き続き旧本店所在地の管轄法務局に印鑑届出書(改印届)を同時に提出する必要があります。
  4. 新しい印鑑カードの交付請求 新本店所在地の管轄法務局に印鑑カード交付申請書を提出し、新しい印鑑カードの交付を受けます。この手続きは令和7年4月21日以降も必要です。

具体例:本店を多摩市から日野市に移転する場合

  1. 株主総会特別決議: 定款の「当会社は、本店を東京都多摩市に置く。」という規定を、「当会社は、本店を東京都日野市に置く。」に変更します。
  2. 取締役の過半数の一致: 会社を置く具体的な住所を決めます。
  3. 登記申請:
    • 東京法務局府中支局(旧管轄)に、本店移転の登記申請書を提出します。
    • 同時に、東京法務局府中支局を経由して、東京法務局立川出張所(新管轄)宛ての本店移転登記申請書も提出します。
    • もし会社の実印を変更する場合は、改印届も東京法務局府中支局に提出します。
  4. 印鑑カード交付請求: 東京法務局立川出張所に印鑑カード交付申請書を提出し、新しい印鑑カードを受け取ります。

知っておきたい豆知識

1. 会社法人等番号は変わりません!

 以前は、本店移転をして管轄法務局が変わると、会社法人等番号も変更されていました。しかし、平成24年5月21日以降は、管轄法務局が変わっても会社法人等番号は変更されなくなりました。(個人商人・外国会社・外国法人は平成27年3月2日から)

2. 会社名義の不動産をお持ちの場合:不動産の名義の住所変更も忘れずに!

 令和8年4月1日から、会社で不動産(土地や建物)を所有している場合、本店移転に伴う、その不動産の登記簿に記載されている会社の住所変更が義務化されます。

【朗報】令和8年4月1日から登記官による職権登記が可能に

 不動産登記簿の所有者の欄に、法人識別事項(会社法人等番号など)が記録されていれば、登記官が職権で不動産登記簿上の本店(住所)を変更してくれる運用となる予定です。

  • 令和6年4月1日以降に所有権を取得した不動産: 原則として、所有権の登記申請時に法人識別事項(会社法人等番号など)を申請情報の内容として提供しているはずですので、職権変更の対象になるとされています。
  • それ以前に取得した不動産: 登記簿に法人識別事項が記録されていない場合でも、管轄の法務局に申出をすることで、登記官に職権で法人識別事項を付記してもらうことができます。

 ご自身の会社が不動産を所有している場合は、この点も確認し、必要に応じて手続きを行いましょう。

その他:関係各所への届出もお忘れなく!

 法務局への登記申請が完了したら、それで終わりではありません。 税務署、都道府県税事務所、市町村役場、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなど、関係各所への本店移転の届出も必要です。

 届出先や必要書類は多岐にわたるため、漏れのないようリストアップして対応しましょう。

まとめ:本店移転手続きは司法書士にお任せください!

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 ここまでご覧いただき、会社の本店移転手続きには様々なケースがあり、注意すべき点も多いことをご理解いただけたかと思います。

 特に、定款の確認、適切な議事録の作成、法務局への複雑な申請手続き、そしてその後の各種届出など、経営者様やご担当者様が本業の傍らでこれら全てを正確かつ迅速に行うのは大きな負担となり得ます。

 そんな時は、ぜひ私たち司法書士法人槐事務所にご相談ください。

 当事務所では、豊富な経験と専門知識を活かし、貴社の本店移転手続きをトータルでサポートいたします。

  • 面倒な書類作成や申請手続きを代行します。
  • 貴社の状況に合わせた最適な手続きをご提案します。
  • 手続きの漏れやミスを防ぎ、スムーズな本店移転を実現します。

 初回のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。 私たち司法書士法人槐事務所が、貴社を全力でバックアップいたします。

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