遺産分割協議書作成の役割と必要性のご案内 | 司法書士法人・行政書士槐（えんじゅ）事務所

遺産分割協議とは？

　遺産分割協議は、故人の財産（不動産、預金、株式など）を相続人が話し合いによって分配の方法を決める、相続手続きの中でも重要な過程です。相続が開始し（故人が亡くなった）、遺言がない場合や、遺言で全ての財産の分配が明確にされていない場合等に行われます。

　故人が残した財産は、法的にはその故人の相続人が、民法で定められた割合（法定相続割合）で、共有することになります。しかし、共有状態のままでは不動産の売却や財産の管理が難しくなるため、遺産分割協議をすることで、誰が何を相続するのかを明確にすることで、この問題を解消します。

　また、遺産分割協議は、相続人全員での話し合いをしたうえで、その結果を書面とすることで、将来の相続人間のトラブルを防止するとともに、銀行などの金融機関などに対しても、相続人が適切な話し合いをしたことを示すことができ、相続手続きをスムーズにする効果が期待できます。

　そのため、弊所では、結果的に、民法で定められた割合で、分配することとなったとしても、「法定相続割合で分配することとした内容の遺産分割協議書」の作成を推奨しています。

　相続人全員で話し合いがまとまれば、おおよそ故人の財産を自由に分配することができます。ここで、主だった分配方法をご案内します。これらのいずれかを選択しなければならないわけではなく、例えば、不動産については現物で配偶者が相続し、その他の財産を換金して分配するなど、組み合わせることも可能です。

　財産をそのままの形でそれぞれの相続人に分配する方法です。

メリット	手続きが簡単で故人の財産をそのままの形で残すことができます。
デメリット	相続人間の公平を図りにくいことが多いです。

　財産を換金したうえで、換価した現金を分配する方法です。

メリット	相続人間の公平を実現しやすい方法です。
デメリット	思い入れのある土地や家屋などは手放すことになります。一時的に換金した財産を管理する口座を作る必要があるなど手続きが複雑になります。また、相続人に譲渡所得税や住民税が発生する場合があります。

　財産を取得した相続人が、他の相続人に現金を支払って分配を公平にする方法です。

メリット	相続人間の公平を実現しやすい方法です。
デメリット	代償金は現金で支払う必要があるため高額財産を相続した相続人の負担が大きくなります。

　財産をそのままの形で共同所有する分配方法です。

メリット	相続人間の公平を実現しやすく、故人の財産をそのままの形で残せます。
デメリット	相続財産の売却や処分などで、共有してる相続人全員の関与が必要になります。

　まず、誰が相続人なのかを明らかにします。具体的には、必要な戸籍謄本を収集し、その記載内容を法律に従って解釈をして確定します。収集した戸籍謄本は、不動産登記や、銀行の相続手続きなどでも使用することとなります。

　故人が残した財産の内容と価値を把握します。不動産の評価や、銀行口座の残高の確認などがこれに該当します。

　相続人全員で、財産の分配について話し合います。

　話し合いの結果を、遺産分割協議書に記載し、相続人全員が署名し、実印で捺印します。戸籍謄本と共に、後の財産の分配手続きで、遺産分割協議の結果の証明書として使用します。

　相続人全員が合意しないと、遺産分割協議は成立しません。全員での合意に至らない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。

　相続人の中に、未成年者、認知症の方、行方不明の方が要る場合など、代理人の選任を家庭裁判所に申立てる必要な場合があります。また、選任された代理人は、遺産分割協議を成立させる際に、事前に家庭裁判所の許可が必要で、遺産分割協議の内容は、一定の制約をうけることになります。

　遺産分割協議は、一度合意に至り協議書が作成されると、実務上は変更が難しくなります。そのため、合意に至るまでは慎重に話し合いを進めることが重要です。

　相続人全員で合意ができれば、遺産分割協議をやり直すことができますが、相続人の間で贈与があったものとして贈与税が課税される場合があります。

　故人の債務を遺産分割によって、負担する相続人を決めても、債権者には主張できません。債権者は、相続人全員に債務の支払を求めることができます。

　遺産分割協議書の内容が曖昧だったり、記載の誤りや、記載が不十分だったりすると、思うような財産の分配、スムーズな相続手続きができない場合があります。

　遺産分割協議は、相続手続きの中で、特に慎重に行って頂きたい重要な過程です。

　遺産分割協議そのものや、遺産分割協議書の作成にご不安な方は、お気軽にご相談ください。